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アイリスオーヤマ「緑茶」参入 備蓄米にも合う

アイリスのお茶 綠

アイリスオーヤマは、緑茶飲料事業に参入し、「アイリスのお茶 綠(りょく)」を6月2日に発売した。500mlペットボトルで価格は150円。

「朝に飲むなら、アイリスのお茶」をコンセプトにした緑茶。約3年かけて開発し、低温密閉抽出製法により渋みと苦みを抑え、華やかで爽やかな香りを引き立たせた。朝に飲んで美味しい、すっきりとした飲み心地を特徴としている。また、お茶の粒子を除去しており、喉越しがよくさっぱりとした味わいに仕上げた。

商品名は緑の旧字「綠」を使用することで、緑茶の長い歴史を大切にしたいという想いを込めている。

緑の旧字「綠」を商品名に使用
低温密閉抽出製法で渋みと苦みを抑えた

食品を主要事業の柱に

同社の食品事業は、2013年に精米事業、2015年にパックごはん事業、2021年に天然水と炭酸水で飲料水事業に参入。食品事業全体で2019年から約3倍に成長しており、主要事業の柱にしていくという。

飲料水に関しては、同社は2021年の参入以前より「とうもろこしのひげ茶」を展開しているが、同商品は輸入商品のため、自社生産での展開は2021年がスタートとなる。地震などの自然災害発生時に、飲料水を迅速に被災地に供給することを目的として始動した。

「アイリスオーヤマは宮城県に本社があり、2011年の東日本大震災ではライフラインが停止する経験をしており、熊本地震や能登半島地震などでは被災地支援に取り組んでいます。2021年に飲料水事業に参入し、自社で生産することで発災時に迅速に物資を配送できます。日頃から発災に備えた物流体制を敷いていることで、現在取り組んでいます政府備蓄米についても迅速に対応することができました」(アイリスオーヤマ 執行役員 勝間浩之氏)

同社の食品事業変遷
2021年に天然水と炭酸水で飲料水事業に参入
地震などの自然災害発生時に、飲料水を迅速に被災地に供給することを目的として飲料水事業を始動
アイリスオーヤマ 執行役員 勝間浩之氏

日本の名産である緑茶を応援

これまで飲料水事業は、天然水と炭酸水のみだったが、今回ラインナップに緑茶を追加。緑茶事業に参入することで、成長戦略の重要な柱である飲料水事業をさらに強化していく

販売目標は25年6月-26年6月の1年間で70億円。緑茶事業参入にあたり、工場に生産ラインを新設するなど、150億円の設備投資を新たに行なっている。物流体制は、国内19工場の物流網でスピード配送を実現する。

今後の事業戦略については、2030年には食品事業全体で1,000億円、そのうち約半分を飲料水が占めることを目標としている。

国内19工場の物流網でスピード配送を実現する
今後の事業戦略。2030年には食品事業全体で1,000億円を目標としている

今回、飲料水の中から緑茶を選んだ理由としては、「既存事業との親和性と緑茶市場のポテンシャルに着目した」と勝間氏は話す。現在同社が抱えている製造ラインと緑茶の製造ラインの親和性が高いことのほか、茶系飲料が市場で拡大傾向にあることも理由として挙げている。

清涼飲料水市場はコーヒー飲料が最も大きいが、次いで茶系飲料が市場を占めている。総務省の家計調査結果による年間支出金額では、麦茶なども含めたすべての茶飲料は2015年と比較して2024年は約40%増加しており、今後も成長が見込まれている。

一方、茶葉単体で見ると支出金額は年々減少。「日本の名産である緑茶を応援したいという気持ちも、緑茶を選定した理由の1つです。『綠』の原材料である茶葉はすべて国産になり、製造工場は埼玉工場、鳥栖工場に製造ラインを新設したほか、京都の舞鶴工場を新たに建てており26年に竣工予定です。こうした国内回帰に向けた設備投資を行なって供給量を拡大し、需要と雇用を創出していきたいと考えています。緑茶以外の茶系飲料に関しては今後検討していく予定です」(勝間氏)

茶飲料の年間支出金額は2015年と比較して2024年は約40%増加。一方茶葉は減少している

茶葉の選定は、綠のコンセプトである朝に飲んでも美味しいすっきりとした味わいに合うものを選んだ。食事にも合わせやすい味わいとしている。「備蓄米にも合うのか」という記者からの問いに、勝間氏は「備蓄米にも合うと思います」と回答した。

綠のCMには、同社のブランドアンバサダーを務める吉沢亮さんが出演。綠を飲んだ感想を吉沢さんは「苦みがすくなくゴクゴク飲めます。クセがなく、どんなときに飲んでも美味しいです」とコメントした。

同社ブランドアンバサダーの吉沢亮さん